7. 結語

 能登半島の地質と能登半島地震の被害には関連があり、地質的に軟弱な地盤で被害が生じている。海岸隆起調査や重力異常変化からは最大約40cmの隆起が能登半島地震により生じたことが示された。地殻変動データに基づく能登半島地震の断層モデルは余震分布や海底の活断層(F14・F15)の分布と調和的であり、重力異常データに基づく考察により、能登半島地震の震源断層がこの地域の地塊構造に制約を受けていることが明らかとなった。断層モデルに基づく鉛直方向の地殻変動パターンと能登半島西岸の海成段丘面の高度には相関があり、能登半島地震規模の地震の繰り返しがこの地域の地塊構造の形成に部分的に寄与していることが示された。過去の地震活動の解析からは能登半島地震が地震活動の空白域で発生している可能性がある。能登半島周辺の海域には地震活動の空白域に活動履歴が明らかでない活断層が存在するため、それらの活断層について最近の活動に関する調査を進める必要がある。