神谷研

■研究課題: ○海産介形虫類の生態,分類,系統進化 
○介形虫類の進化と古海洋環境変化の関連性 
○新第三紀以降の海洋環境変動
■キーワード: 「介形虫」・「進化」・「海洋環境」

進化古生物学の研究

目標
 「生物進化」の謎は解明されたか?というと,詳細な部分はまだまだであろう.「詳細な部分」とは,たとえば,「海生生物の種が分化する課程」や「種分化・進化ち環境変化との関連性」,なかでも「大進化/小進化に好都合な場やタイミングなどの条件があるか」などが挙げられる.これらの問題は化石記録を詳細に読みとっていかない限り解けない.
 古生物学あるいは化石といえば恐竜やアンモナイトを思い出すかもしれないが,当研究室では主として「オストラコーダ」という小型生物を集中して研究している.また鮮新−更新統のウニ化石を用いた古環境学的・進化古生物学的研究も行っている.オストラコーダには1)形態に基づき,種の認定や分類群の系統関係がうまく認定できる,2)化石として豊富に産するので時空分布がとらえやすい,などの利点がある.オストラコーダという一つの生物群を徹底的に解明し,従来不鮮明であった生物進化の真の姿(の一部)を描き出したい.

研究分野
 目標の研究を遂行するために,以下のような研究が行われている.
1;(古)生物の分類と系統関係
 進化を考える土台となるのが「分類」や「系統関係」の理解である.この分類群の住所作りというのはなかなか大変な作業で,何が難しいかと言えばその認定基準である.普通は形の類似性を基準にするが,どの部分の形質を使えば最良かは誰もわからない.DNAは優れた基準であるが分析に手間暇がかかる.しかしながら,オストラコーダ系統推定の「切り札」,「最強の基準」として「ポア」が使えることを当研究室の研究成果が確立しつつある.ポアやDNAなどを用いてオストラコーダの完璧な住所録作りを目指している.
2;(古)生物の分布と生息環境,(古)生物群集の時代的変遷
 「時空分布」こそ進化を語るコマである.時空分布の中からある規則性を導き出せば,それが進化のパターンや場の条件となる.微生息環境と現生種の分布の関連性や,地層から産する化石群の記載など,「時空分布」を詳細に描き出すために多岐にわたった研究がなされている.
3;(古)生物を用いた古環境復元
 一方オストラコーダやウニは種ごとに限定された環境に生息するため,優れた環境指標となりうる.化石群を用いて古環境や堆積環境の推定が行える.さらに潜在的には汚染環境や環境劣化の好指標として利用できるだろう.

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