船上にて

8月5日午後、天候はやや曇りぎみ。いよいよ「ベルシャーギ号」に乗り組むときがやってきた。出航に備えて荷物や食料がロシア人の船員によって船に積み込まれていく。慌しいがどこか緊張感がない。キャプテンの横にいる小さな子供が、船上の雰囲気を和やかにしているようだ。そしてキャプテンの挨拶が始まった。甲板にいるときは必ずライフジャケットを着ること、夜は一人で行動しないこと、船縁をベンチのようにして座らないことなど事細かに注意事項を我々に伝えた。午後2時出航の予定だったが、ロシアでは決まって時間通りにいくことはなく、港を出たのは3時半頃だった。出航を待っている間に天候が徐々に回復し、我々の船出を祝福するかのような煌びやかな日光を浴びせ、青く澄んだ空のもと、「シベリアの青い瞳」とも言われるバイカル湖の穏やかな湖面を船は進んでいった(by西地)。


         
我々が乗りこんだベルシャーギ号 ライフジャケットを忘れずに。キャプテンからの訓示を守ります。
 
  その1)プレカンブリア紀の岩石観察

我々が最初に向かったのは、堆積物を採る場所ではなく、先カンブリア時代の地層が見られる地点であった。上陸する際、草むらや藪の中には決して入らないようにと注意を受けた。以前、ダニのような小さな虫に刺されて亡くなった人がいるとのことで、害虫には十分気をつけなければならなかった。上陸すると、そこには鉄道が湖岸沿いに走っていて、暗闇につつまれたトンネルをライターで足元を照らしながら抜けると、高さ10m以上、幅が50mくらいの露頭を見る事ができた。みんな必死にハンマーで岩をたたき、持ち帰ることができるくらいのサイズに砕いてた。船に戻り、お互いの衣服に虫がついていないか確認しあって乗船した。
   
   
船を降りた後,真っ暗な鉄道用のトンネルを通って露頭へ向かう。 ダニに注意するよういわれたことも忘れ,露頭と見れば飛びついてしまう。


船を降りる前日,オルフォン島に上陸し,氷河地形とプレカンブリア紀の岩石を見学した。写真手前に見えるオレンジは,船からボートで陸地に向かう面々である。大嵐のため,限られた人数だけが上陸し,上陸したメンバーもゆっくり露頭を観察するというわけにはいかなかった。

 
         
 
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