食べ物のこと

1,外食

イギリスの食べ物はまずいと評判である。実際7年(1994年)ほど前に大英博物館のカフェでいただいたスープときたら.....。人生で初めて食べ物として提供されたそれが食べ物であることを疑った瞬間である。でもよく考えたら,それ以外はあまりひどい目にあっていない。おいしくて感動することもあまりないが,とにかくちゃんと「食べ物」なのである。イギリスも悪くない.....というのが最近の意見であるが,このような意見を持つこと自体が食事があまりおいしくなことから来ているのかもともいえる。

というわけで自炊している。(2001.4.1)

2,しょうゆ

わたしが住んでいるところから歩いて5分もしないところに大手スーパー「テスコ」がある。ここには自社製品「value」シリーズをはじめお値打ちなものが揃っていてとても便利である。テスコとジャスコとの関係について考えを巡らせるのは日本人なら(特に金沢大学近辺に住むものにとっては)避けられないことであるが,とりあえずそれはおいておこう。しょうゆである。ここには様々なエスニックフードとともにしょうゆがおいてある。これを買っていくのは,観察していると日本人だけでない。けっこうみんな買っている。しかも某ティッシュペーパのTVCMでテーブルの上の瓶を倒してしまい,急いでふき取るという場面があるのだが,この瓶もしょうゆの瓶である!ことほどさようにしょうゆとはポピュラーなものであったかと誇らしく思うのであった。(2001.4.1)

3,ビール
ビールが好き。イギリスといえばパブでビール。とはいえ毎日パブに行くわけにもいかないので(行ってもいいけど)家で缶ビールも飲んでます。缶ビールも各種取りそろっておりスタウト,ビター,ペールエール,そしてラガーもある。ちょっとそれに分類しがたい(たぶんビター?)ものもある。生クリームを足してあるのでは?と思われるようななめらかな白い泡を伴う,まったくパンチのないビール。あれはいったい何なのだろう?(もちろんおいしい)あるものは中にプラスチックのピンポンボールのようなものが入っていたが用途不明。さらにいろいろ試してみたいと食指が動くイギリスビール事情であった(2001.5.20)

後日談:ピンポンボールの用途をジモティに聞いたところ,泡の核を作りやすくするためのものだとのこと。てっきりビールの量を減らして大儲けするための隠し玉かと邪推してたのに......(2001.7.1)

4,サイダーとペリー
日本ではシードルとしておなじみの,リンゴの発砲酒・サイダー。親戚筋としては洋ナシから作るペリーもある。甘いものからドライなものまで千差万別。共通しているのはかなりアルコール度数が高いということくらい。これらのお酒は各農家がお家芸としてつくって収穫の時には小作に振る舞ったという歴史から,農家の数だけバリエーションがあるそうである。以前フランス人と一緒にサイダーを飲んでシャンパンみたいだね〜といったら,それはあり得ないと怒られた。シャンパンもこれまたその地方を反映するご自慢の一品だものね(2001.9.4)

5,アフタヌーンティー
あこがれのアフタヌーンティー(もしくはハイティー)。観光でイギリスに来るときには必ず行こうと胸をときめかすのであるが,たいていはレストランやカフェのあまりの値段の高さにお茶代なんかにそんなに払えるかぁと罵倒して行かないのが常である。しかし!こちらでご自宅にお呼ばれいただき,のこのこと行ってみると,なんとそこにはケーキとサンドイッチの山が。というわけで家庭で楽しむアフタヌーンティを堪能できたのでした。どうやら呼んで下さった彼は出身が農家とのことで,実家では今も毎日アフタヌーンティをたしなむとのこと。奥さん曰く現代人の生活にはそぐわないとのことでしたが,どうりでケーキ作りが板に付いていたはずです。手作りのケーキは簡単に作れそうで(ほんとか?)それでいて美味。おどろいたのがサンドイッチで,食べてびっくりキュウリが挟まっているだけ。でもすごくおいしかった。その後しばらくキュウリ入りのサンドイッチマニアと化していました。その後ものの本をたづねてみると,アフタヌーンティのサンドイッチとしては,それが普通なんだとか。サンドイッチといえばいろんな物がたっぷりと挟まってると考えていた私としては新鮮な驚きでした。(2001.9.5)

6,カップラーメン
ラーメン食べられないのは本当につらい。一度日本食レストランでとんこつラーメン食べてみたけど,あまりおいしくなかった。日本製のラーメンは中華街や輸入専門店などでも手にはいるけど,まだ買ったことはない。一度疲れて帰ってきて,「何もしたくないし,でもラーメン食べた〜い!!」となったときのこと。思い切って最寄りのスーパーで売ってたカップラーメンに手を出してみた。食べてがっかり。味が悪いってわけじゃない。入っているのがいわゆるちゅるちゅるちゅるってやりたくなるような麺じゃないのだ。ぶちぶちに千切れてて,ラーメンというよりスープの具.........。日本製カップラーメンが食べたいよ〜〜(2001.11.20)

7,ざくろ
ザクロはおいしい。こどものころ学校の行き帰りによそのお庭に生えているザクロをぱちったりした。そのときはすごく罪悪感を感じたけど,今思えばたぶん子供が取らなかったら鳥が取るかそのまま腐るかだったんだろうなぁとちょっと思う。それはそれとして,イギリスでもスーパーでザクロが売っているので喜び勇んで買い込んで食べてみて驚いた。種がない!あるんだけどまるで育ち損なったひ弱ななにかのよう。味もあの強烈な新鮮な酸味がない!がっかり(2001.11.29)

8,ナッツ
クリスマスシーズン到来で,スーパーの品揃えがかわったと思ったら,どう見ても食べ物には見えない木の実の詰め合わせが棚をにぎわせている。ツリーの飾り付け(根本に敷く?)用だろうと思いつつ,こちらの人に尋ねてきたところ,なんと食用だとのこと。クリスマスは食事のあとワインを飲みながら延々チーズやそのナッツを食べて過ごすのだとか。試しに買って食べてみたらそれなりに楽しいし,話も弾む。これってこんな殻に入っていたの〜!!という新発見も驚き。でも....。味は,缶入りのローストして塩をふってあるナッツの方が断然おいしい。(2001.12.12)

8,中級グルメ
イギリスの食べ物がまずいのにはほんとに閉口する。日本では「口に入るものならなんでもいい」派だった私達でさえ,「お金を払えばすむことなら美味しいものを食べたい」派になってしまったくらい。とはえいえ決して口が肥えている方ではない私達。最近のおすすめはさしずめ中級グルメというところか。
パンはなに食べてもまずい。多分「テスコ」で買ってる時点で美味しいパンを手に入れるのは不可能なんだろうけど,唯一食べられるなと思うのはフランスパン「Ficelle」。フランスパンだけでも4種類くらいあるのに,他のはてんでダメ。なんか臭い。

English Breakfastにかかせないベーコンのはずなのに,塩っぱいばかりでどれもあまりおいしくない。最近見つけた適度な塩加減のベーコンは「Suffolk」のもの。これならベーコンエッグに塩をふっても「あっしまった」っていうことにならない。

パンが主食のこの国だから,やはりジャムやバターは美味しいものを食べたい。たいがい何でもおいいしいが,ジャムは時々甘過ぎることもある。このマーマレードは砂糖を足してないというふれこみと,お馴染みのスライスカットのオレンジ(ジャムによってはダイス状に切ってあるものあって,え〜っていう感じ)で気に入っている。

日本でいうところのおつまみ「ミニサラミ」に近いのが「Mini Turkey Kabanos」。ビールのおともに最適。でもイスラエル産だから今の御時世、買う気になれないのが残念。イスラエル産と言えば大好きな「デーツ」もイスラエル産のものばかりが売られていて,「食べたい。でもこのお金がイスラエルの軍事政権を助長することになるのはまっぴら」という気持ちに引き裂かれている。

家からひと駅離れたところにあるイタリアンデリでは,何を買っても美味しい。中でも気に入っているのはアンチョピの酸づけ。岡山のままかりを彷佛とさせる味わい。ところでままかりって何の魚なんだったけ?(2002.4.25)

9,となりは何をする人ぞ
スーパーに買い物にいってレジに並ぶと,つい隣で並ぶ人の買い物かごの中身が気になる。というのも,その中に思いかけないものを見つけて試しに買ってみると,とっても美味しいことが多いのだ。つい最近,美味しそうなアップルパイのパストリーを大量に買い込んでいる人を見かけた。あれ,あんなの見たことないな〜と思いつつ,どうしても試したくなって店内を探して合点がいった。その賞品は棚の高いところに積み上げられていて,だんなの目にさえ届かないような陳列っぷりだったのだ。あれじゃどんなに美味しそうでも多分見逃している人がけっこういる。売る気があるのかな?(2002.5.1)

10,我が家の秘密
今年の夏はとっても忙しかった。仕事が忙しいのもあったけど、お客さんがめじろ押しだったのだ。去年は誰も来てくれなくて「まっみんな薄情ね」って感じだったけど、まぁテロ事件やアフガン攻撃があった物騒な年だったのだから仕方なしとしよう。今年みんな来てくれたしね。どうもありがとう。というわけで、皆様のお土産のおかげで、にわかグルメの洗礼を受けたのだけど、一番のお土産はなんと我が家にあったのだ。

遊びに来た友だちは料理自慢で私たちはすっかり甘えて毎日のようにおいしい家庭料理に舌鼓をうっていた。我が家には4つの調理用レンジがあるのだけど、ろくに料理なんてしない私達は手前の2つのレンジしか使ってなかった。電気レンジのせいで火力が弱く、大好きなチャーハンも作れない有り様。これじゃ料理する気にもなれないよね〜と思っていた。ところがどっこい、彼女が千手観音のようにいくつもの料理を平行して作ってみると(つまり奥の2つのレンジも使うこととなったてこと)、その奥のレンジの火力の強いこと強いこと!まさに240ボルトの面目躍如。おかげで料理のレパートリーも増えたし(たいしてやってないけどね)、何ごとも手早くすすむ。まさに我が家の秘密を暴いていてくれたことが一番のお土産となったのでした。(2002.9.17)

11,チーズバーガーセット
マクドはどこにでもある。金沢でもあちこちにあったけどロンドンにもあちこちに。どう見てもおいしそうじゃないし健康的でもないけど時々食べたくなる。チーズパーガーセットを頼んだときのこと。お店で食べる、いわゆる「イートイン」のつもりでいたのになぜか「テイクアウェイ」用に袋に入ってでてきた。逆なら困るが、袋に入っている分には持って出ようが中で食べようが自由自在なので文句もいわないでいたところ驚いた。席について袋をあけたら肝心のバーガーが入っていないのだ!!!即刻文句を言ってゲットしたが、いったいどうしたら肝心のハンバーガーを忘れることができるのか、理解に苦しむ。全く労働者の質の低いことには驚くばかりである。日本のいわゆる生産業に従事する人の質の高さを考えると、こんな国に対して日本の円が非常に弱いのがもっと理解に苦しむことである。思うにイギリスでは質の悪い人は低層にいるが、日本ではトップ(とくに金融業?政治家とかも?製造業のトップはイケてるひとが多いと思うけど。)でふんぞり返っているのが原因だろうか?しかしハンバーガー一つでこんなに辛らつになれる私も充分「質の悪い人」かも。(2002.10.10)



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