付加体の研究

 付加体は学生時代から私の興味をかき立てる対象である。そもそもは地層累重の法則に逆らっていることから、いったいどのようなプロセスでこのようなものが現在私たちの足下に分布することになったかに興味を持ったのが始まりであった。自分が住む日本列島の成り立ちを知りたいというローカルな興味もあったし、物質循環・大陸成長という観点からも、おもしろいテーマだと思っていた。最近は付加体のゴミ箱のような側面にも引かれる。ひっくり返せば過去のいろいろなイベントのかけらを集めて、探偵のように地球の秘密を暴けるのだ。過去の巨大地震断層の証拠だってこのなかに閉じ込められているハズ。

 熱年代学の立場からは、過去にさかのぼってものがどう動いていたかの現象をとらえることができるが、その現象を引き起こした機構についてはどんなにがんばっても結局は推論となってしまうのが今のジレンマである。

いくつかの結果は以下ですが,最近(2015年現在)はあまり付加体研究にとりくんでないですね。

●竹下 徹・長谷部徳子・野村和良,四国中央部三波川帯緑泥石帯砂質片岩中のジルコンのフィショントラック年代: 2つの異なる年代とその意味 地質学雑誌,117, 53-56, 2011

荒田孔明・長谷部徳子, アパタイトのconfined トラック増加のためのエッチング条件:四万十帯中のアパタイトへの適用 フィッショントラックニュースレター,20, 2007,6-12

Noriko Hasebe and Hiroaki Watanabe, Local heat influx and exhumation of the Shimanto accretionary complex: Miocene fission track ages from Kii peninsula, southwest Japan, Island Arc,13, 533-543, 2004

●Noriko Hasebe and Takahiro Tagami, Exhumation of an accretionary prism -results from fission track thermochronology of the Shimanto Belt, southwest Japan, Tectonophysics, 331, 247-267, 2001

●渡邉宏昭・長谷部徳子、紀伊四万十北帯における中新世のFTジルコン年代、フィッショントラックニュースレター、11、27-29、1998

●Noriko Hasebe, Takahiro Tagami and Susumu Nishimura, Melange forming processes in the development of an accretionary prism; evidence from fission-track thermochronology, J. Geophy. Res., 102, 7659-7672, 1997

●山際敦史・長谷部徳子・田上高広、赤石山地東北部の四万十帯のFT年代、フィッショントラックニュースレター、10、47-50、1997

●田上高広・長谷部徳子、付加体の熱年代学からみたコルディレラ型造山運動と白亜紀全地球変動、地球、213、178-182、1997

●田上高広・長谷部徳子、フィッショントラック法による付加体の熱年代学、地質ニュース、502、14-19、1996

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