火成岩の活動についての研究


火成岩と言ってもピンからキリまで。基盤の古い花崗岩から,新しい現世の火山活動までいろいろである。そのいろいろに取り組んでます。

その1)

東伊豆地域には美しい単成火山が分布している。いくつかあるそれらの単成火山群の活動がいつから始まって今に至るのか、なぜあの地域だけにあるのか多くの研究者が興味を持って研究している(代表者の一人、小山真人さんのHPはこちら)。層序学的に年代の推定は可能だが、放射年代測定はほとんど行われていなかったのを、京都大学年代ラボの質量分析計を借りてK−Ar年代を測定した。

試料収集には多くの方に協力していただいた。現在はこの研究については小休止中。ちょっとやりたいと思っていることもあるのだが.....。(お金がない!)

結果については

 Noriko Hasebe, Ayako Fukutani, Masafumi Sudo and Takahiro Tagami, Transition of eruptive style in an arc-arc collision zone: K-Ar dating of Quaternary monogenetic and polygenetic volcanoes in the Higashi-Izu region, Izu peninsula, Japan, Bull. Volcanol., 63, 377-386, 2001

 福谷亜矢子・長谷部徳子・周藤正史・田上高広、東伊豆単成火山岩類のK−Ar年代測定、フィッショントラックニュースレター、11、31-34、1998



その2)

若い火山岩といえば,今考えていることがある。21世紀COEで金沢大学に購入されたLA-ICP-MSはとても優れものである。現在,基礎実験として,これで測定した238U濃度をFT法に応用する研究をしており,快調である。その実験を通してあれこれやってみると,234Uと230Thの濃度も測れそうな手応えがある。イオニウム年代測定を通して,若い火山岩の噴出史解明や,マグマ形成と溶岩噴出との関係を探れるのではないかと,実験を計画中である。



その3)

西南日本に広く分布している,第三紀の花崗岩や白亜紀の花崗岩は,日本列島の基盤である。これらがいかにどうしてこのあたりに分布するに至ったか,多くの人が興味を持っている。私も及ばずながら,年代学的な手法でこれらの岩石の研究をしている。

 

 Noriko Hasebe and Hidehiro Hoshino, Igneous rocks emplacement and exhumation of sedimentary basement: Fission track age determination on the Osuzuyama volcano-plutonic complex and surrounding rocks, Miyazaki prefecture, Southwest Japan, Geochemical Journal, 37, 537-543, 2003.

 Noriko Hasebe, Bambang Widoyoko Suwargadi and Susumu Nishimura, Fission track ages of the Omine Acidic Rocks, Kii Peninsula, Southwest Japan, Geochemical Journal, 34, 229-235,2000

 

その4)

地球科学に携わる者ならみなさんextrume な場所の地形発達や形成過程に興味を持たずにいられないですよね。私もチベットや南極の神秘に触れてみたい。けど,体力的に自信がないので遠くから思いを巡らせているだけ。共同研究でチャンスがあれば,飛びついてしまいます。

 本田千晶・長谷部徳子・松木篤・水上知行・田村明弘・伊藤健太郎・ 岩田尚能・石川尚人,原子間力顕微鏡を用いた東南極リュツォ・ホルム岩体のジルコンFT年代測定y,フィッション・トラック ニュースレター,27,2-3,  2014

 高岡美咲・長谷部徳子・石川尚人・岩田尚能・田村明弘・荒井章司, 南極・昭和基地周辺の岩石のアパタイトフィッショントラック年代測定, フィッション・トラック ニュースレター,26,34-36 2013

その他の成果についてはこれ。

 末岡 茂・田上高広・堤 浩之・長谷部徳子・ 田村明弘・荒井章司・山田隆二・松田達生・小村健太朗,フィッション・トラック熱年代に基づいた六甲地域の冷却・削剥史,地学雑誌 119, 84-101, 2010

 



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