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(石渡先生作成)


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渕崎さん(福士研)のGoldschmidt Conference参加報告


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1.はじめに

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2012年6月24日~29日までカナダのケベック州モントリオールで開催された「The 22nd V.M. Goldschmidt Conference」という学会に参加しました。参加者は約3000人で、世界中の地球化学を研究している方々が集まる学会です。初期地球、大陸地殻、マントル、地球表層プロセス、気候変動、エアロゾル、海洋、人間活動の環境へ対する影響など様々なセッションが開かれていました。ここでは、学会の様子や自身の発表について書いていきたいと思います。

2.学会の様子

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学会会場は地下鉄の駅に隣接しているモントリオールセンターという大きな建物でした。とにかく、参加者の数もセッションの数も多く、参加者の休憩場所ではいたるところで国籍を超えて議論をする声が聞こえてきました。口頭発表では、日本ではマイナーな表面錯体モデリング(福士研究室でよく使われる手法です)のセッションが一番大きな会場で行われていました。また、ほぼ満員の会場で立って発表を聞いていると、後から入ってきた人たちが地べた(席と席の間の通路!)に座り発表を聞き始めました。私だったら席がなかったら会場に入ることを諦めていると思います。その積極的な姿勢に感銘を受けました。  発表数が多いため、プログラムの厚さは3センチ以上(!)もあります。その中から事前に興味のある発表をチョイスして15分ごとに会場を移動します。私が研究を行っている「古環境の復元」や「炭酸塩鉱物」、あまり知識はないけれど勉強したい「同位体」についての講演を中心に回りました。 学会期間中はUEFA EURO 2012 サッカー欧州選手権の決勝トーナメントの真っ最中であり、会場に設置されたテレビの前に人だかりができるという一面もありました。

     

3.発表の様子

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ポスター発表当日、発表時間帯が夕方であったため、お昼ごはんを食べてからは事前に作った原稿を見ながら、単語の発音を一つ一つ確認しました。初めてこのような大規模な国際学会での発表のため、直前まで緊張が止みませんでした。始まってみて思ったのは、ポスターを聞きに来て下さる方は、話を聞く時ポスターではなく私の目を見ているということでした。そのため、はじめはポスターを指し示しながら説明していたのですが、途中からは見に来てくれた人と会話をするような形で説明を行うように心がけました。インドネシア、中国、アメリカ、イギリスなど様々な国の学生や研究者の方がアドバイスを下さり、時にはまったく専門外の方も話を聞きにきてくれ、とても有意義な時間を過ごせました。 口頭発表会場の雰囲気に比べ、ポスター会場では参加者はワインを片手にリラックスをして話をしており、議論しやすい環境でした。

4.モントリオールについて

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今回学会が行われたモントリオールはカナダで2番目に大きい都市です。フランス語圏の都市であり、市内には近代的な高層ビルと石造りの歴史的な建物が混在していました。また、緑も多く街並みの綺麗さに目を奪われました。学会会場から歩いて5分のところには、あの歌手セリーヌ・ディオンが結婚式を挙げたことでも知られる、ノートルダム大聖堂もありました。      
     

5.旅の教訓

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今回の国際学会参加で、学んだことがもう一つあります。それは、国際学会に参加するときは機内に持ち込めるサイズのポスターを作るか、布のポスターを作って鞄にしまっておくということです。一見当たり前のことのように思えますが、私たちの話を聞いて下さい。 出発の日、成田空港へ向かう飛行機に乗るため、とある空港で荷物を預け手荷物審査も全て終わり、あとは乗り込むだけという状態で待機していました。もちろん手にはポスターを持って。すると、職員が近づいてきて「このポスターは持ち込めません、下で預けて来て下さい」というではありませんか。慌てて追加でポスターを預けました。少し不安な気持ちもありましたが、そうそう紛失することはないと高をくくり、成田空港へ。その後成田空港から乗り換えの地シカゴに向かいました。 悪い予感は当たるもので、シカゴに到着し手荷物を受け取りましたが、ポスターだけ見つかりません。職員に聞いてみても分からないと言われました。これでは学会発表ができない、と落胆した気持ちを抑えつつ、とりあえずモントリオールへ向かう飛行機に乗りました。モントリオールの空港に着いてからも、案の定ポスターは見つかりません。航空会社の窓口で、ポスターを早急に見つけ滞在するホテルに届けてもらう手続きを行ってから、ホテルに向かいました。この時対応してくれた社員さんが「僕のおじいさんは大阪に住んでたことがあるんだよ」と言いながら時折日本語のジョークを交えつつ、親切な対応をしていたのが印象的でした。 学会発表まであと2日…。ポスターは届くのだろうか。不安なまま眠りにつきました。      
     

6.旅の教訓2

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 ポスターは1日経っても届きませんでした。荷物を追跡してくれるWEBサービスを見てみても、「捜索中」となっています。淡い期待を抱きながら学会に参加していましたが、自分たちで何とかするしかないと戻ってこないポスターのことは諦めました。学会スタッフに印刷できる場所を尋ね、会場から歩いて1分の場所を紹介してもらいました。早速注文しに行きました。1日はかかるが大きいサイズ(A0)での印刷も大丈夫ということでした。ほっとしたのもつかの間、1枚6000円もかかるといのです。高い。  この時、「ポスターは命より重い」といった先生の言葉を思い出し、次回からは布のポスターを手荷物のカバンに入れて持って行くことを誓いました。  ちなみに、業者さんが印刷してくれた綺麗なポスターを使って、無事に発表することができました。      
     

7.終わりに

国際学会は日本での学会に比べて規模も大きく、発表内容も多岐に渡っており、たくさんの知識を吸収することができました。また反対にポスター発表の経験から、深い議論をするために英語の必要性も痛感しました。10月には日本での国際学会に参加するので、それまでにコミュニケーションを取るための英語を更に勉強していきたいと思います  今回の学会参加にあたっては金沢大学地球学コース組織的若手派遣プログラムの援助を頂きました。そのおかげで貴重な体験ができたことをここに感謝いたします。      
     
 

現在の項目:

1.はじめに
2.学会の様子
3.発表の様子
4.モントリオールについて
5.旅の教訓
6.旅の教訓2
7.終わりに

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