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角間キャンパス岩石散歩
(石渡先生作成)


Kanazawa University
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伊田君(奥寺研)の2010年国際鉱物学会参加報告


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1.国際鉱物学会(IMA)とは?

国際鉱物学会(IMA)は4年に一度、冬季オリンピックと同じ年に開催される。2010年はハンガリーの首都・ブダペストで8月21-27日の7日間行われ、世界中から1700人もの科学者が参加したIMA史上最大規模の学会であった。この学会は古くからある鉱物学だけでなく、岩石学、粘土鉱物学、隕石学など、非常に幅広い分野のセッションを設けている。

2.学会での発表

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私はいつも鉱物学のセッションで発表していたのだが、博士課程から新たに分子シミュレーション(MD)による研究を始めたこともあり、今回は新たな出会いを求めて(?)「原子モデルによる鉱物の構造と物性の関係」に思い切って登録した。シミュレーション系のセッションで発表した経験は無かったので発表前は多少心細かったが、たくさんのMD計算の専門家の方々と知り合い、普段の研究室のゼミとは違った視点からの議論をすることができた。まさに学会の醍醐味である。今回は他大学の研究者の方から、これまでと全く違う計算モデルのアイデアや、解析のコツなど大変貴重なアドバイスをいただいた。現在私はIMAで得た新しいアイデアを活かすべく、日夜研究に励んでいる。
 
写真1:学会発表、議論の様子。ポスターは一番右。

3.学会開催地・ブダペスト

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さて、今回の学会開催地・ブダペストは、以前から行きたいと思っていた土地である。学会の合間に街を散策するだけでも、ハンガリーの歴史の断片が随所に見られ、非常に楽しむことができた。日本に比べて涼しく乾燥しており、学会期間中は快適に過ごすことができた。ブダペストは、ドナウ川を挟んでブダ地区とペスト地区に分けられる。前者はオスマン帝国統治時代からオーストリア=ハンガリー二重帝国時代にかけての政治の中心地区である。ブダ王宮やマーチャーシュ教会など、歴史的建造物はこちらに多い。キラーリ温泉などはトルコ式温泉の特徴を色濃く残している。後者のペスト地区は1867年のアウグスライヒ以降、顕著に発展したらしく、確かに目を引く建築物の多くが19世紀末から20世紀初頭にかけてのものであった。
 
写真2(上):ブダ王宮の最上階バルコニーからみたドナウ河。画面中央付近に見える建物がハンガリー国会議事堂。右下にかかっている橋が、ブダペストで最も有名なセーチェーニ鎖橋。
写真3(下):チキンをパプリカソースで煮込んだハンガリー料理。

4.国際学会に参加する意義

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以上のように国際学会では、めったに会うことのできない海外の研究者と議論を交わしたり、異国の文化に触れるなど実に刺激的な毎日を送ることができる。言語の問題から躊躇する人もいるかもしれないが、学生の間に是非とも一度は学会、特に国際学会に参加することをお勧めしたい。来年はスペインのマドリードで国際結晶学会が開かれるので、新たな研究成果をもって参加したい。
 
写真4:マーチャーシュ教会のジオラマと私。

現在の項目:

1.国際鉱物学会(IMA)とは?
2.学会での発表
3.学会開催地・ブダペスト
4.国際学会に参加する意義

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