能登半島の洪水安山岩

 

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 石渡研究室の平井佐利君による能登半島の洪水安山岩に関する研究(修士論文)が新聞記事になりました.記事のコピーを掲げます.(北陸中日新聞,2004年3月7日(日)朝刊9面(「北陸の文化」面)).

 「洪水安山岩」というのは永尾ほか(1995)が提唱した新しい火山の形で,大陸の洪水玄武岩(台地玄武岩)のように広大な平坦面をつくる安山岩溶岩を言い,鹿児島県北西部から熊本県南部にかけての肥薩火山岩類(第三紀鮮新世)が典型例です.(1)100-200mの厚さの安山岩溶岩が平坦な台地をつくり,縁辺部は急崖をなし,基本的に単一の溶岩流よりなる,(2)厚い溶岩全体にわたって板状節理が発達する,(3)拡がりに対する厚さの比が溶岩ドームや成層火山の溶岩に比べて小さい,(4)溶岩の下底部や上面部にガラス質の部分が発達することがある,などが特徴です.能登の場合は,侵食により原地形が既に失われていて,厚さも100m未満のため,(1)の要件を一部満たしませんが,他の要件は揃っています.

【 文献】

永尾隆志・長谷義隆・井川寿之・長峰智・阪口和之・山本正継・周藤賢治・林田賢一 1995. 九州の平坦面を形成する安山岩の地質学 的・岩石学的特徴:”洪水安山岩”の提唱.地質学論集, 44, 155-164.

平井佐利・石渡明 (2003) 能登半島西部,志賀町富来町の穴水累層カルクアルカリ安山岩:肥薩・諏訪地域の「洪水安山岩」との比較.日本地質学会第110年年会(静岡)演旨, 296.



2004年03月20日作成,2004年03月20日更新

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