水晶玉ガラス玉の見分け方 付録1 

右水晶と左水晶の見分け方

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付録2 光学的二軸性結晶の目玉   もどる


 

 水晶には,外形(結晶面の現われ方)の違いによって右水晶と左水晶があります.水晶には「旋光性」があり,結晶軸の方向に進む偏光の振動面が進行距離に比例して回転しますが,観察者が自分に向かって進んで来る光を見た場合,右水晶では偏光面が右回り(時計回り)に,左水晶では左回り(反時計回り)に回転します.回転角は進行距離1mmにつき約22度です.

 「水晶玉とガラス玉の見分け方」のページで説明しましたように,直交偏光(クロスニコル)の状態にした2枚の偏光板の間に,結晶軸が中心にくるように水晶玉を置くと,同心円状の虹色の干渉リングと放射状の4本の黒い筋(アイソジャイヤー)が見えますが,この状態では右水晶と左水晶を区別することはできません.ところが,この状態のまま,水晶玉と手前の偏光板の間に薄い雲母板を入れると(雲母板が最も明るく見える方向にして入れる),下の写真のように,干渉リングが右水晶は右螺旋,左水晶は左螺旋に変化し,水晶玉のように結晶の外形が失われている場合でも,右水晶と左水晶をはっきりと区別できます.直径2cmの大きな水晶玉よりも直径1cm程度の小さい水晶玉の方が螺旋模様をはっきりと見ることができます.同じ水晶玉を前後逆にして,反対側から見ても,螺旋の向き(巻き方)の左右は変化しません.例えば透明な板に螺旋を描いて裏から見たり,蚊取り線香の渦巻きを裏から見たりすると,螺旋の向きは左右逆になりますが,これらとは異なり,水晶の左右は右ネジ・左ネジの別と同様にその結晶固有の性質で,裏から見ても変わりません.日本で作られる人工水晶は右水晶に決められていますが,天然の水晶には左水晶もかなりの割合で存在するようです.

 なお,このページの写真は,「鉱物と化石 やまもと」店主 山本良久様より提供された「結晶光学き・ほ・んセット(ポラリスコープ)」附属の雲母板を用いて撮影しました.光は蛍光灯と白熱電球の混合光です.このセットは偏光板2枚,雲母板1枚,ルーペ1つ,木製架台1つ,水晶球2つ(右水晶と左水晶各1つ),ガラス球1つと解説書からなっていて, 送料・税込み4,225円(送料別3,675円)(2006.8.21更新)にて送って下さるそうです.また,面倒な偏光板や雲母板の位置・角度の調整,水晶玉の光軸探しなどをせずに,簡単に右水晶と左水晶の干渉像を見ることができる「きらりビュアー」が新たに商品化され,送料・税込み3,850円(水晶玉つき)(本体のみは税込み2,625円)だそうです.さらに,目に近づけて空を見ると干渉像が見える,研磨水晶板と偏光板が一体になったオモチャ「みーぐるうる」も,1個につきS:\1,050, M:\1,365, L:\1,785で販売しているそうです.なお,価格は変動しますので,直接山本さんに問い合わせて下さい(青字部分は2006年8月21日追記).山本さんの連絡先は電話0724-94-1461, メール[kumomaru01@hotmail.com]です.

右水晶(直径2cm)     左水晶


右水晶(直径1cm)  左水晶


●上の写真はどれも雲母検板を挿入して撮影.


水晶玉ガラス玉の見分け方 付録2

光学的二軸性結晶の目玉

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 水晶は光学的一軸性結晶で,光軸(直交偏光で見える干渉リングの中心)は結晶軸cに沿う2つの向き(一方とその反対側)にありますが,光学的二軸性結晶の場合は光軸が4つの向きにあります.このような二軸性結晶の玉を直交偏光で観察すると,下の写真のように,光軸の周囲には水晶の場合と同様に同心円状の干渉リング(目玉)が見えますが,アイソジャイヤー(黒い筋)は十字型ではなく,干渉リングの中心を通る1本の直線または曲線になります.この写真の結晶はダンブリ石(danburite)で,光軸角は約90度であり,水晶(石英)よりも複屈折が大きいため,干渉リングは非常に細かく,密になっています.これは直径1cmの玉を振動方向が直交する2枚の偏光板の間に置き,1つの光軸を中心に見た写真で,雲母板は使用しておりません.

二軸性結晶ダンプリ石(danburite)の玉の干渉像(1つの光軸が中央にある)


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2002年08月09日作成,2006年08月21日更新