これは,岩波文庫の唐詩選からみつけた杜甫の五言律詩です.
何か,心が明るくなって,気が楽になるような詩です.
日本語に訳してみました.    
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春に帰る   杜甫(石渡訳)

川沿の苔むした 竹やぶの道
一面の花ばたけ 茅ぶきの家
この家を留守にして はや何ヵ月
帰ったらたちまちに はる花盛り
杖をつき庭石を 廻って眺め
酒びんを傾けて 砂場に憩う
水に浮くかもめたち 波まかせ
掠め飛ぶつばめたち 風まかせ
世の中はいろいろと 多事多難
あがいても限りある 我が命
酔って醒め醒めて酔う これが我が身
おもしろく生きれれば そこが我が家


原文

春帰  杜甫

苔径臨江竹 茅簷覆地花
別来頻甲子 帰到忽春華
倚杖看孤石 傾壷就浅沙
遠鴎浮水静 軽燕受風斜
世路雖多梗 吾生亦有涯
此身醒復酔 乗興即為家