石川県鶴来町坂尻地区南方の断層破砕帯中の珪化木と黒色泥岩の変形構造  もどる→石渡ページ

 鶴来町坂尻地区南方で,手取川扇状地に面する山麓の露頭に,南北走行で垂直な幅2mほどの断層破砕帯が確認された.その破砕帯中には,断層の両側の流紋岩質凝灰岩には見られない黒色の岩石が断層と平行な筋として存在する.この黒色の岩石から2つの標本を採集し,薄片を製作して検鏡したところ,1つは珪化木,もう1つは黒色泥岩であることが判明し,どちらも著しい変形構造を示すことがわかった.写真中央が破砕帯.縦の黒い筋が問題の岩石.露頭の高さは写真右半部で約5m.

1.珪化木の繊維に垂直な断面.年輪が大きく屈曲している.画面横幅7mm.このような年輪の変形は,断層運動のためにこの珪化木に加えられた圧縮力による可能性が高い.(偏光顕微鏡単ニコル写真).ただし,木が生存中,あるいは枯れたあと石化する前に圧縮されたり折れたりした場合,どのような構造になるか,検証が必要.

2.同上拡大図.画面横幅3.5mm.(偏光顕微鏡単ニコル写真)

3.同上拡大図.画面横幅1.4mm.(偏光顕微鏡単ニコル写真)

4.上と同じ視野の直交ニコル写真.画面横幅1.4mm.木質の断裂でできた空隙もシリカが充填している.

5.黒色泥岩中の褶曲構造(2枚組写真).写真1枚の横幅7mm.(偏光顕微鏡単ニコル写真)

6.黒色泥岩の組織.画面横幅1.4mm.(偏光顕微鏡直交ニコル写真)

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1998/10/30 製作, 2000/03/26 15:11 更新