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角間キャンパス岩石散歩
(石渡先生作成)


Kanazawa University
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金山さん(海野研)のオマーン滞在記


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1.オマーン調査−1

2011年12月22日から2012年1月6日までの約2週間,オマーンでの地質調査および岩石試料採取を行った.私にとっては4回目のオマーンである.我々海野研究室の今回の調査の主な目的は,オマーンオフィオライトのシート状岩脈群のサンプリングである.海洋プレートを生産する中央海嶺近傍での海洋地殻内の温度構造を推定するため,海洋地殻を構成するシート状岩脈の結晶粒径を用いる.オマーンオフィオライトは海洋プレートの断面が陸上に露出したものであり,海洋地殻層序(上位より,溶岩層,シート状岩脈群,層状ガブロ)が広範囲によく保存されている.そこで中央海嶺軸に沿った方向(セグメント端~セグメント中央)と鉛直方向(溶岩層直下~マグマ溜まり直上)温度変化を追うことが出来ると考えられる.海野研究室の院生Oさんによって現在進行中のこの研究の追加サンプリングと,卒論予定のS君の新たな調査地の調査を行った

2.オマーン調査−2

U先生,S君,私の3人は,12月21日深夜,関西空港を立ち,カタールを経由して,22日午前,オマーンの首都マスカットに到着した.マスカットの空港を出たとたん強い日差しに晒され,冬の日本とのギャップに驚いた.12月のマスカットの平均最高気温は27度らしい.とても乾燥しているためなのか風呂に入っていないからなのか,着いた途端,皮膚がかゆい.さっそくレンタカーで宿泊地,ソハールへ向かった.ソハールへはハイウェーで3時間位である.ハイウェーはきれいに整備されており,道端や中央分離帯には色とりどりの花が植えられている.ときどき(おそらく)外国人労働者が水やりをしているのを見かけた.しかし,道を外れるとすぐに草木の殆どない褐色の大地である. ソハールでの宿はソハール・ガーデンという賃貸アパートの様なところで,数人で1つのフラットを借りて生活する.新潟大の調査団は既に到着して調査を始めておられた.

3.オマーン調査−3

Photo

翌日の23日から調査を開始した.調査地は宿から西へ行った山の中である.ワジ・フィズ,ワジ・ヘイル,ワジ・バニウマールなど複数のワジ(沢・川)ぞいに数ヶ所で各5本程度の岩脈からサンプリングした.1日1~2か所のペースで調査を行った.現地に着くとまず,岩脈や母岩の走行・傾斜など,地質構造のデータをとり,次にサンプリングに適した岩脈の選定を手分けして行った.また,2日間程度,U先生について10日~12日に行われる巡検のための溶岩層の下見と,V3巨大溶岩流の構造を調査した.フィールド調査で学んだ大事なことは,広域的な構造を理解することと局所的な部分の注意深い観察のどちらも欠いてはいけないことである.また,U先生と調査に出かけていつも感じるのは,フィールドで新しい発見をするには,バックグラウンドに深い知識が不可欠であるということである.
 写真:私とポスター

4.オマーンでの生活

オマーンの人々はとてもフレンドリーで,私たちが露頭で調査をしているとき,車で通りかかった人は必ず窓から手を振ってくれる.日本ではあまりそんな経験がないので,手を振り返すのが楽しい.また,近くの村の住民がよく調査の様子を見に来て,ときどきお茶に誘ってくれる. オマーンでの夕食は,近くのレストランに食べに行くことが多い.レストランで働いているのがインド人やパキスタン人が多いせいか,インド・パキスタン風のスパイシーな料理が多かった.それはそれでとてもおいしかった.ときどき近くの大きなショッピングセンターの惣菜を買って食べることもあった. 年越しは,荒井研のA君とH君も合流して,フィッシュマーケットで買った魚介類や日本から持ってきた蕎麦を味わった.不思議だけど楽しい年末年始だった.

現在の項目:

1.オマーン調査ー1
2.オマーン調査ー2
3.オマーン調査ー3
4.オマーンでの生活

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