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(石渡先生作成)


Kanazawa University
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道中君(平松研)の2010年米国地球物理連合秋季大会参加報告


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1.最初で最後(?)の国際学会

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今回、大学での研究の集大成として2010年12月13日~17日(滞在したのは1週間)に米国地球物理連合秋季大会(AGU : American Geophysical Union Fall Meeting)と呼ばれる学会でポスター発表を行いました。毎年アメリカのサンフランシスコ(以下SF)で冬に開催されるこの学会では、まさに世界中から学生・研究者・学校の先生が集まってきており、発表件数が一万件以上(!)に上る“超”が付くほど大規模な学会なんです。Geophysicalと名前は付いていますが、日本で言う「地球物理学」よりも幅広い地球科学の分野までカバーしています。さらに、学会期間中には、一般的な口頭発表・ポスター発表以外にも企業出展ブースや多数の懇親会など、イベントが盛りだくさんで、クリスマス直前のSFの雰囲気と相まって、この一週間は会場の中でも外でも落ち着く場所がないほど賑やかでした。  本報告では、学会での私の発表やイベント参加の様子について紹介します。

 写真左:サンフランシスコと言えば、ケーブルカー。車両からはみ出ている席が特等席です。
 写真右:夜のユニオンスクエア。クリスマスツリーにスケートリンク、路上ライブと、何でもアリな繁華街です。

2.小さな世界、ユースホステル

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先生や同行した学生らのホテルとは異なり、私はユースホテルに滞在しました(け、決してシェアする友達がいなかった訳じゃないですよ!!)。ユニオンスクエアという、夜になるとどこからか音楽が聴こえてくる繁華街のすぐ傍で、破格の朝食付き1泊25$(2000円ちょっと)でした。4人部屋で、幸いにもトイレ・シャワー付きです。ルームメイトと話をしてみると、3人中2人がAGU参加者で、マイペースなフランス人と、気さくなイタリア人でした。フランス人の彼はハリー・ポッターの最終章を毎晩読みふけっていましたが、“話しかけないで”オーラを放っていた彼に、その話題を振ることは叶いませんでした。残念。朝食は簡素なパンとジャムやクリームを自由に食べられました。日本の食パンより圧倒的に固く、ピーナッツクリームは粉っぽかったです・・・。席が少ないので混雑時にはグループ席をシェアすることになりますが、敢えてその席を狙って、会話するきっかけを自然に作ることもできました。その一方で、自由にくつろげるはずの談話室スペースでは、それぞれが自分のPCで作業をしていたり、少人数のグループでひそひそ話していたりと、重い空気を感じました。このように、TPOによって変化する人との距離感を感じるのに四苦八苦していました。
 
写真:ユースホステルの4人部屋。内装は簡素ですが、布団の色などちょっとしたオシャレが感じられます。

3.有名人にドキドキ

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私の研究は、2010年の3月末にヨーロッパの多くの空港が閉鎖されて大混乱になった原因である、アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火前後の地面の動きを人工衛星のレーダー画像で監視するというテーマです。今年最もホットな(火山だけに!)火山の一つであるため注目度は高く、今回の火山噴火に対する研究は多くのセッションで見受けられました。ポスター発表当日、発表開始の2時間くらい前に閑散とした朝早くの会場に着きましたが、ここからが勝負!事前に考えた英語の台本をとにかく読み込んで、説明する流れをみっちりイメトレしました。練習している内に自信もついてきたので、発表時間中は私のポスターの前に立っている人に積極的に話しかけることができました。ポスター前で3時間くらい立っていた中で最も印象に残っていることは、今回の火山噴火について最も詳しいであろう、アイスランド大学のSigmundsson教授が私の発表に興味を持って下さったことです。彼は私と同じ研究をしており、ミーハーでちょっと興奮していた私は、自分の研究成果はもとより、逆に彼にいくつかアドバイスを求めました。他にも、アイスランド大学の学生も発表を聴きに来て意見交換をしました。このように、いわゆる“本場”の研究者たちからの意見を多く得ることができた点が、AGUならではの収穫でした。私は、自身の研究でもあるアイスランドの火山噴火の発表以外では、「衛星画像」「極地火山観測」といったキーワードに注目して事前にチェックしたポスター発表を中心に聴いて回りました。どの研究者の方も非常に熱心・丁寧に説明して下さるので、基本的な事項についても、今まで私が腑に落ちていなかった部分がほとんど解消されました。その一方で、重要な研究発表を逃していたことに後で気付き、さらに充実した学会にするためには、学会内で聞いた情報を毎日整理して次の日に活かすタフさが必要だと感じました。
 
写真:発表している私(右)とアイスランドの学生(左)。相手の目を見て話すように意識しました。

4.フォーマルとインフォーマルの狭間で(1)

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最初に書いた通り、期間中は研究発表以外にもAGU主催のイベントが数多く開催されておりましたが、私はStudent BreakfastとBanquet(懇親会)に参加しました。どちらのイベントでも、ホテルの1フロアに数多く並んだ円卓テーブルを囲んで、食事をしながら楽しく会話をするといった内容です。Student Breakfastでは学会会場近くで一流ホテルの朝食を無料で嗜みつつ、同じ分野の研究をしている学生たちと交流することができました。テーブルを囲むのはアメリカ、チリ、フランス、アイスランド、名古屋の学生。出身国はさらに別の国だったりするので話題は絶えません。しかし、会場ではたくさん見かけた日本人学生も、この場ではほとんど確認することができませんでした。もったいない!

 写真:Student Breakfastの様子。大盛況で満席です。

5.フォーマルとインフォーマルの狭間で(2)

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最終日前日の夜にBanquetが行われる同ホテルの受付へ到着すると、そこにはスーツ姿の紳士たちとドレスを纏った淑女たちが・・・!完全に想定外でした。皆さんビジネスカジュアル~セミフォーマルといった装いで、私は500人近くの参加者中、最もカジュアルな服装でした。しかし、フロア内はとても暗く、周りからの厳しい視線も感じなかったので、ほとんど気にすることなく時間を過ごせました。ディナーはシャンパンに始まり、ワインと共に豪華で風変わりな味付けのアメリカ風フレンチ(?)のフルコースでした。AGU代表の挨拶が終わった後、フロア前方では始終バンドの生演奏が行われ、途中から中央のダンスホールに人が集まり始め、“おぉ、これが正にドラマや映画で見たアメリカ!”と無性に感動してしまいました。私の円卓テーブルを囲んでいた人はコロラド、イングランド、モスクワ、ドイツから来た面々。研究の話題になったときは言葉を挟み辛かったですが、それぞれの国・経歴・将来の話など身近な話題については、積極的に会話を作っていけたと思います。もっと自由に英語が話せれば・・・とはしみじみ感じましたが、それよりも、体当たり的にこのようなイベントに参加できて良かった、という思いの方が強いです。

 写真:Banquetの様子。盛り上がりが最高潮に達すると、ダンスフロアは満杯になりました。

現在の項目:

1.最初で最後(?)の国際学会
2.小さな世界、ユースホステル
3.有名人にドキドキ
4.フォーマルとインフォーマルの狭間で(1)
5.フォーマルとインフォーマルの狭間で(2)

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