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服部君(水上研)の体験記


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服部君(水上研)

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1.はじめに

2010年12月24日から2011年1月5日まで,若手研究者海外派遣プログラムの一環である「モホール学校」で中東のオマーンへ行ってきました。私は,大陸プレート下に海洋プレートが沈み込んでいるところのマントルについて研究しています。やはり,マントルの研究をしている者としてオマーンに産出している「オマーンオフィオライト」をぜひ見てみたいと思い,モホール学校に参加しました.地殻とマントルの境界である“モホ面”を生で見れるチャンスなんて滅多にないと思います。
 モホール学校に関する航空券の手続きなどは,荒井研究室の方々に手配して頂きました.本当に感謝しています。

2.初めての海外

私はモホール学校に参加するため人生で初めてパスポートを取得しました。今までに海外には行ったことがなかったので,オマーンが初めての海外ということになります。出発前夜は,遠足前日の小学生のような心境でした。もちろん,長時間の飛行機も初めてです。機内食や映画見放題など色々楽しみがありました.しかし,私は身長が189cmあるのですが,飛行機の席があまりに狭かったので,かなり窮屈で相当疲れました・・・。
 オマーンまでの経路は,関西国際空港からドバイを経由し,オマーンへ到着するというもので,途中のドバイでは乗り継ぎまで時間があったので空港内をウロウロしていました。さすが石油が出ている国です。日本よりも“豪華”な印象を受けました.免税店はショッピングモールのようなところで色々な店がありましたが,私が見るところなんて日本にいるときと変わりませんでした・・・家電やおもちゃなどです。ドバイで日本のおもちゃを見つけた時は少し感動しました。

3.圧巻のオマーンオフィオライト

オマーンに到着し,早速次の日から巡検が始まりました。オマーンも季節は冬だと聞いていたのですが,日差しが強いのなんの・・・まったく寒くありませんでした。夜でもTシャツに短パンでした。オマーンオフィオライトは,総延長500kmにもおよぶ世界最大のオフィオライトです。海洋リソスフェア(地殻と上部マントル)の断片が大陸に乗り上げたものだと考えられており,モホールプロジェクト(人類初のマントル到達を目指すプロジェクト)の前段階として大変重要な岩体です。
 巡検は荒井研究室の方々と一緒に露頭を回りました。私の中でもっとも印象的だったのが,モホ遷移帯(地殻からマントルに変化していく部分,最大で500mもの厚さがある)など様々な露頭で見られるダナイト-ウェールライトです。ダナイトとはかんらん石を90%以上含んでいる岩石で,ウェールライトはそこに単斜輝石が10%以上入っている岩石です。
 私が研究している愛媛県の東赤石かんらん岩体も主にダナイト-ウェールライトで構成されている岩体なので,オフィオライトで見られるダナイト-ウェールライトには非常に興味がありました。オマーンオフィオライトでは,まだダナイト-ウェールライトの成因がよくわかっていないみたいです。オフィオライトで見られるダナイト-ウェールライトの切れ端のようなものが,私の研究している東赤石かんらん岩体ではないかと想像しました。どちらかの成因解明は,どちらかの成因解明につながるのかもしれません。

4.オマーンという国について思ったこと

オマーンは現在急激な発展の途中にある国です。主要都市をつなぐように道路があり,南北に長い国土を縦貫しています。この道路沿いに町が点在している感じです。私たちが巡検の拠点にしていたソハールという町はオマーンの北側,オマーン湾に面している町です。日本で抱いていた発展途上国のイメージそのままでした。アスファルトは道路くらいで主に土です。私は,あまり都会でない雰囲気に居心地の良いものを感じました。オマーンの料理は,働いている人がインド人(オマーン人は飲食店で働かないらしいです)ということもあって,カレー味が多い印象を受けました。カレー好きには,幸せな国かもしれません。
 オマーンは産油国ということもあって,首都のマスカットは大都会でした。生活水準は非常に高いように思います。車も多かった(トヨタ,日産など日本車が多い)ですし,外国人の観光客(自分たちも含め)もたくさんいました。家電売り場には,サムスン電子(韓国),ソニー(日本)のテレビが多かった印象でした。日本にいると気付かないですが,外に出てみて日本という国はすごいと思いました。テレビに限らず,プレーステーション3などのゲーム機やおもちゃといった贅沢品も売っていました。石油の出ている国は本当に経済が潤っているのだということを目の当たりにしたような気がします。

5.日本へ

あっという間の初海外でした。今思えば,なかなかハードな日程だったように思います(毎日巡検でフィールドに出ていたので。そして,また飛行機のあの狭い座席(私の長身が原因)に座るのかと思うとちょっと気分が落ち込みました。たしか,なんだかんだで10時間以上乗るわけですからね・・・。しかも,帰りはドバイの空港で待ち時間が5時間くらいありました・・・。適当にお土産をカード(両替するのがめんどくさかった)で買って,さすがに,疲れていたので他の外国人に混じって,ベンチで寝ていました。空港で寝ている人ってかなり多いので,全然恥ずかしくなかったため,爆睡・・・。
 そして,飛行機に乗ってからは全然寝れず,ほぼ起きていました。もう体内時計はむちゃくちゃな状態で日本に到着・・・。日本に着いたら夜で,今からまた寝るのかと思うと少し憂鬱になりました。
 こうして初めての海外体験は幕を閉じました。

現在の項目:

1.はじめに
2.初めての海外
3.圧巻のオマーンオフィオライト
4.オマーンという国について思ったこと
5.日本へ

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