2010年度モホール学校
はじめに
組織的な若手研究者等海外派遣プログラム「海洋地殻−マントルの構成と発達過程の解明:モホールへの備え」の目玉企画として,オマーン・オフィオライトでの野外実習である「モホール学校」を,平成22年12月末〜23年1月初めまでの約2週間中東のオマーンにおいて開催した。参加者はいずれも当時地球環境科学専攻(博士前期課程)1年生である3名である。学問的専門性(すなわち,オマーン・オフィオライトとの科学的距離)が全く異なった3人であったが,それぞれの立場で十分楽しむことができたのではと期待する。これは,オマーン・オフィオライトという素材の持つ多様性(多面性)によるものである。またイスラム国家であるオマーンは,日本人にとって社会的・文化的にも大変異質であり,参加者は,地球科学を楽しみつつ国際性あるいは国際的視野を広げることも出来たのではないかと思う。それでは,以下に参加者の体験記を写真とともに紹介しよう。
荒井章司(モホール学校校長)
モホール学校行程
月日 |
曜日 |
旅程/見学地 |
見所 |
その他 |
2010年 12月24日 |
金 |
日本(関西空港)発 |
クリスマス・イヴは機中で。 |
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12月25日 |
土 |
ドバイを経てマスカットへ。オマーン入国 |
直ちにソハールへ移動(ソハール泊)。 |
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12月26日 |
日 |
ワジ・フィズ |
岩脈群、斜長かこう岩、層状ガブロ、モホ遷移帯、マントルかんらん岩 |
かつての「モホ」に立った!(ソハール泊) |
12月27日 |
月 |
ワジ・フィズ |
層状ガブロ、モホ遷移帯、マントルかんらん岩。特にホワイトプール(Caに富むアルカリ性の湧水で、モホ付近に特徴的) |
ホワイトプールの異様さに感動する(ソハール泊)。 |
12月28日 |
火 |
ワジ・ヒルティ |
アンバー及びガブロより深部の岩石。ここでも見事なホワイトプール |
アンバーを見て、海底の熱水活動を実感する(ソハール泊)。 |
12月29日 |
水 |
ワジ・ジジ |
枕状溶岩などの噴出岩 |
生々しい枕状溶岩に感動する(ソハール泊)。 |
12月30日 |
木 |
ワジ・ジジ |
岩脈群などの噴出岩 |
雄大な岩脈群に海洋底拡大を実感する(ソハール泊)。 |
12月31日 |
金 |
ワジ・ヒルティ |
マントル部深部のクロミタイト |
重要な岩石を見るために少し歩いた(2時間)。オマーンで大晦日とお正月を迎える!(ソハール泊)。 |
2011年 1月1日 |
土 |
ワジ・ラジミ |
下部地殻〜上部マントル相当岩類、クロミタイト鉱山 |
謹賀新年。モホの多様性を確認すると共に、オフィオライトと人間社会の接点を実感する(ソハール泊)。 |
1月2日 |
日 |
ワジ・ジジ |
オフィオライト基底部とメタモーフィック・ソール(海洋底リソスフェアがオフィオライトとして乗り上げたため、下の岩石が変成岩となったもの)。これでオフィオライト構成物のすべてを観察する |
オフィオライト定置時の熱と圧力を実感する(ソハール泊)。 |
1月3日 |
月 |
ソハールからマスカットへ移動 |
帰国準備(マスカット泊)。 |
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1月4日 |
火 |
休日 |
マスカット等の観光を楽しむ |
帰国準備(マスカット泊)。 |
1月5日 |
水 |
シーブ国際空港へ |
機中泊。 |
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1月6日 |
木 |
日本(関西空港)着 |
無事帰国。 |
参加学生体験記
・柴野さん(隅田研)
・亀谷さん(加藤研)
・服部君(水上研)