トップページ > 海洋地殻―マントルの構成と発達過程の解明:モホールへの備え > 2011年米国地球物理連合秋季大会(柴野さん)

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角間キャンパス岩石散歩
(石渡先生作成)


Kanazawa University
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柴野さん(隅田研)の2011年米国地球物理連合秋季大会参加報告


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1.はじめに

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サンフランシスコで12月5日~9日に行われたAGU Fall Meeting に参加し、ポスター発表を行ってきました。世界中から地球物理学を中心とする分野の研究者が一同に参加する学会です。口頭発表、ポスター発表の形式での研究発表と、研究者の交流を深めるためのイベントがたくさん企画されていました。 そして、隅田研究室では、学会に参加するに留まらずアリゾナ巡検を行ってきました。メテオクレータ、グランドキャニオン、化石の森などを巡り、アリゾナの地質構造を学んできました。 本報告では、この学会への参加とアリゾナ巡検について報告します。

2.初、国際学会

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学会では、室内実験を行っている発表をメインに、口頭発表やポスター発表を聞いていました。国内では、実験をしている研究は少ないのですが、そこはさすがの国際学会!たくさんの実験的な研究の発表がありました。無次元数や実験条件に注目することで、国際的な学会においても、研究内容のスムーズな理解につながることを実感しました。特に、二層の液体系において、密度差による液体の移動の実験や、実際にマグマを用いた溶岩流の実験がとても興味深かったです。 自分のポスター発表には、10人ほどの方が聞きに来てくださいました。事前にノートに重要な点などをメモしていたのですが、それを頼っている暇はなく、、、コミュニケーションは、目をみて!が重要でした。実験動画を見てもらうなど、研究内容をある程度理解してもらうことができたようでした。「面白い実験だね」というコメントを頂き、海外の研究者の方にも自分の研究を知ってもらえたことをとても嬉しく感じました。ですが、質問などに適切に答えることができず、もどかしい面もありました。研究結果を出すだけではなく、それを伝える手段である言語も同時に鍛えなければいけないことを痛感しました。 学会での一番の収穫は、ある研究者の方に、私の実験結果のプロセスが用いて説明できる露頭がありそう!というコメントを頂いたことです。研究が国際的につながった!!!という瞬間を目の当たりにし、今更ながら「研究」というものに魅力を感じずにはいられませんでした。
 

3.アリゾナ巡検(カルフォルニア)

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学会終了後、カリフォルニアからアリゾナへ。メテオクレータ、グランドキャニオン、化石の森などを巡検しました。メテオクレータの詳細は瀧田さんのページへ。 ここではグランドキャニオンについて紹介したいと思います。グランドキャニオンの第一印象は、「写真でみるより、赤い!」でした。そして何層にも重なる堆積構造が、とても長い年月をかけて形成されてきたことを表わしていました。どこまでも続く縞構造を何地点かで観察することで、パンフレットに説明されている堆積構造を理解することができました。一番驚いたことは、すごく典型的な不整合があることでした。誰にでもわかる不整合なのですが、そこには数億年の歴史があります。数億という単位が、大陸ならではの構造であり、日本ではなかなか観察できないと思うので、とても貴重な経験になりました。また、グランドキャニオンの堆積構造が形成される過程で、浅海であったり、砂漠であったりと、とても多様で長い歴史を経てきたことを学びました。そして、その構造が堆積してきた時間に比べると短い時間のなかで、今の状態まで浸食されてきたことに、水の影響力を強く感じました。 最後に・・・アリゾナ州といっても、グランドキャニオンの周辺は標高が高く、雪が積もっていて崖を下るトレイルには行くことができなかったので、雪がない時期に行くことをお勧めします!

4.おわりに

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今までの研究で得られた成果を、国際学会で発表できたことがとても良い経験になりました。世界の研究者の方の研究を直接聞けたことも貴重な体験だったと思います。そして、研究した内容を世界に発信していくことの重要性を強く感じました。的確に発信することで、まだまだ謎の多い地球科学という学問が、分野を超えて、国を超えて研究が進めばいいなと思いました。また、大陸の地質を観に行けたことで、島弧である日本とは異なった地質構造を肌で感じることができ、有意義な時間を過ごすことができました。  このような機会を与えて頂いたことに感謝し、地球科学を通して得られた経験・体験、広い視野をこれからも生かしていきたいと思います。      
     

現在の項目:

1.はじめに
2.初、国際学会
3.アリゾナ巡検(グランドキャニオン)
4.おわりに

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