ここはX線精密構造解析の解説のページです.

結晶にX線(波長1Å=10-8cm程度)を当てると,結晶中の原子を作っている電子がX線を散乱します. ある特定の方向では散乱が強めあい,また別の方向では弱めあいます. 結晶では原子が一定の間隔で繰り返して,3次元的な格子,即ち,結晶格子を作っていると考えると理解しやすいのです. 結晶格子によるX線の散乱即ち回折という現象です.

回折線の強度は,どの方向でも同じということではなくて,方向によって異なります. その結晶を作っている原子の種類,原子の並び方,即ち結晶構造によって違っています. 従って,回折線の強度を測定すれば,結晶構造が分かるということになります.

測定は0.2mmぐらいの粉みたいに小さな,”単結晶”があれば十分です.これを4軸自動回折計という,計算機制御の自動機械にセットして行ないます. この精密装置を私たちは”フオーサークル”(4-circle)と呼んで親しんでいます.

結晶構造の解析ではこのフオーサークルを使う研究が最も強力で精確です. というのは,他の方法では決めるのが困難な結晶の対称性を正しく決定できるからです.フオーサークルでは3次元の回折データが3次元座標で測定できるというのが強みなのです.

更に我々の研究室では室温条件での研究だけではなく,結晶加熱用の小型電気炉(直径1cmの球形)をフオーサークルにセットして,結晶の高温における構造や振る舞い,即ち,構造転移の研究もしています.