| 調査地域紹介 |
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東赤石カンラン岩体(愛媛県) 1.位置 2.周辺地質と岩石 3.東赤石岩体の岩石 |
菅島カンラン岩体(三重県) 1.位置 2.地質 3.岩石 |
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| 〔写真〕 地由山から見た赤石山系の山並 み。手前(左)のやや円めのピークが東赤石山。奥(右)に向かって八巻山 (小ピークの連なり)、前赤石山 (尖頂)、物住頭と連なる。平成14年11月撮影。 |
| 1. 位置・地形 東赤石カンラン岩体は、四国中央部別子地域に位置する大規模カンラン岩ユニット(5×2km2)
である(右下図)。カンラン岩の露出は、愛媛県、宇摩郡土居町と
新居浜市別子山(旧別子山村)
の境界に位置する四国赤
石山系(法皇山脈)の稜線の南北に広がる。呼称は赤石山系の最高峰、東赤石山(標高1707m)に由来する。岩体の地図上の分布は東西方向に伸長した形を
していて、それは鳳凰が舞う姿にも見える。 赤石山系は四国山地の最北嶺をなし、瀬戸内海の燧(ひうち)灘から水平距離わずか11 キロメートルの間に、標高が1700mも上昇す る急峻な地形を持つ。 その頂上にマントル岩石:カンラン岩が露出する事実は、地球の造山運動のエネルギーの大きさを物語る。稜線から足下に広がる瀬戸内海の眺望や、「男性的」 と評される赤石山系の山並みがとても美しい。 この地域では、戦前から戦後にかけて、クロム鉄鉱やカンラン石などの鉱石資源の採掘が盛んに行われていた。そのための作業道や輸送施
設などが充実していたことが、この地域の地質研究の進展に大きく寄与した。既にすべての鉱山が閉山してしまった現在も、山を愛する地元の方々の尽力によっ
て登山道が維持されている。
東赤石岩体の位置する四国別子地域は、三波川変成帯(⇒下囲み)の中でも、岩石の「原岩」と「変成度」に多様性がある地域である。そ のため多くの研究者によって様々な側面から調査されている。珍しい岩石や鉱 物の産地として愛好家の関心も高い。特に、エクロジャイトが広域的に記載されている点は、この地域の大きな特徴である。
別子地域の主要な岩石は、堆積岩を原岩とする泥質・砂質片岩と、火山岩起源の塩基性片岩である。チャートや石灰岩起源 の変成岩も見られる。そして、東赤石岩体に代表されるカンラン岩起源の岩石や、斑レイ岩起源の岩石が大小の岩体として分布する。赤石山系に発する数多くの 沢が、これらの岩石を集めて河川に流れ込んでいる。そのため、赤石山系南側の銅山川や、北側の関川、浦山川などでは、別子地域のあらゆる種類の岩石を観察 することができる。 岩石の変成度は、岩石中の鉱物組み合わせや鉱物化学組成から読み取ることができる。泥質片岩中の鉱物組み合わせは、温 度に対して敏感に変化するため、変成温度の指標となる。別子地域三波川帯では、この泥質岩の変成度を指標にして広域的な温度構造の解析に成功している。ま ず、泥質片岩中の鉱物組み合わせ等を用いた変成分帯によって、変成度の低い順に、「緑泥石帯」、「ザクロ石帯」、「曹長石-黒雲母帯」、「灰曹長石-黒雲 母帯」が定義される(*1)。これらは、それぞれおよそ、330℃、440℃、530℃、610℃の温度条件に相当する。各帯の分布は、右上の地 質図に示したように、複雑に折りたたまれた形になっていることが、詳細な地質調査によって明らかにされた。さらに、変形構造と変成作用の解析によ り、「地殻深部の変成作用で獲得した温度構造が三波川帯上昇時の広域的な変形によって折りたたまれた」と、解釈されている。別子地域では一般に、変成度の 高い岩石ほど構造的上位に分布する傾向がみえる。これは、地下深部ほど高温という地球の一般的な温度構造に反しており、「逆転した温度構造」と言われる。 この変成作用の圧力条件(〜10Kbar)は緑色片岩相から角閃岩相程度であり、エクロジャイト相よりも低圧で起こっている。そこで、ここではこれを「非 エクロジャイト変成作用」と呼ぶ。 これに対して、エクロジャイト相の変成岩(ザクロ石とオンファス輝石の組み合わせが特徴)を含むエクロジャイト岩体 は、深部の変成作用を経験しており、上述の非エクロジャイトユニットとは変成履歴において区別される(*2)。その多くは、この地域の最上位に位置するこ とが確認されている。東赤石カンラン岩体は、「曹長石-黒雲母帯」と「灰曹長石-黒雲母帯」にまたがって分布し(右上地質図)、非エクロジャイト変成作用を被っている。しかし、ザクロ石カンラン岩を含み、深部に由来する点で周囲 のエクロジャイト岩体の履歴に類似する。
東赤石カンラン岩体で見られる主な岩石は、ダナイト、 ウェールライト、単斜輝岩、ザクロ石単斜輝岩である。全体積の80%以上がダナイトであり、残りの岩石は厚さ数10メートルから数ミリメートルの層として ダナイトに挟まれている。クロム鉄鉱が濃集するクロミタイト(クロムの鉱石)も薄い層として見られ、ザクロ石ウェールライトやザクロ石ハルツバーガイトな どのザクロ石カンラン岩もわずかに含まれる。そして、これらの岩石の吸水変質によって形成された、蛇紋岩や角閃岩なども、岩体に広く見られる。 ダナイトは、表面が赤〜橙褐色をした、ごつごつとした印 象の岩石である。 東赤石岩体には、強い面構造を示す片状ダナイトと、一見無構造の塊状ダナイトがある。片状ダナイトには蛇紋石が含まれていて、面の上できらきらと光を反射 する。塊状ダナイトは肉眼では無構造に見えるが、構成鉱物であるカンラン石は結晶方位に定向性(格子定向配列)を持っている。 東赤石岩体の組成層構造(岩石種の違いによる層構造)は、マグマの結晶化に伴う集積作用によって形成されたと考えられている。しか
し、「マグマだまりが何処にあったものなのか?」という素朴な疑問、これに決着をつける決定的な証拠は、まだ得られていない。岩石の形成場の問題は、東赤
石岩体の地質学的課題のひとつとして残されている。 |
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<参考文献> 榎並, 1994. 岩石鉱物鉱床雑誌, 89,
409-422.
東野, 1990. 地質学雑誌, 96, 703-718. Wallis et al., 2000. 岡山理科大学自然科学研究所紀要, 26, 3-17. Yoshino, 1961. 広島大学理学部紀要, Ser. C, 3, 343-402. |
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| 〔写真〕 三重県鳥羽市菅島の北景。中央は大山(おやま)。植生が乏しく、地形がなめらか な部分(道路より高い部分)が菅島カンラン岩体。平成12年7月、鳥羽市営定期船から撮影。 |
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三重県鳥羽市沖の菅島、坂手島、安楽島(半島部)にかけて、カンラン岩や角閃岩、カンラン石斑レイ岩などの超苦鉄質深成岩類が分布す
る。総称を菅島超苦鉄質岩体といい、そのうち北側に分布するカンラン岩ユニットを、特に菅島カンラン岩体と呼ぶ。 (有名な
ミキモト真珠島がカンラン岩かどうか、いつか確かめに行きたいと思っています。)
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