41. 海野 進,2002. 溶岩流災害― 平安初期噴火の例 ―.月刊地球,24, 622 - 630.

 2000年前以降の富士火山は側火口から溶岩流出と降下テフラの放出を繰り返している.中でも平安初期は貞観噴火の青木ヶ原溶岩を含む規模の大きな溶岩噴火が続いた.貞観噴火は石塚火口と神座風穴から始まり,2週間でおよそ0.06 km3の溶岩を流出した.ついで長尾山火口からおよそ2ヶ月の間に0.13 km3の溶岩を流出し,少量の降下スコリアの噴出とスコリア丘形成で終わった.静かな溶岩流出では直接的な被災はその規模に応じて限られた範囲のものとなるが,長期間継続すれば広範囲に2次災害をもたらす.溶岩流の挙動を高精度で予測するために,平成13年度からスーパーコンピューターによる次世代シミュレーターの開発が進められている.

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