研 究

火山学とは?Scope of Volcanology

 なぜそこに火山があるのか,それはいつ,どうして,どのような噴火をするか?それを理解するためには,火山の地下にあるマグマの通り道―マグマ供給系―についての研究が不可欠です。マグマ供給系の研究とは,地球の深部でマグマがなぜ,どのように発生し,どのような経路を伝って上昇し,噴火に至ったのか,その間にマグマはいつ,どこで,どのような変化を起こした結果,そのような噴火をしたのか―それら全ての過程を明らかにしていくことです。 従って,マグマ供給系の理解には地質学,岩石学,地球化学,地球物理学といったさまざまな分野を総合して取り組んでいく必要があります。

 私は,火山の噴火現象とマグマ供給系,および火山体を形成するプロセスとそれを支配する原理について,主に地質学や岩石学の手法を用いて研究しています。

MAGMA: The Hottest material I've ever had!!

主な研究テーマ:主な研究テーマを示した図


現在,取り組んでいる主な研究プロジェクトは,

1)中央海嶺のマグマ供給系とモホール
 中央海嶺系は地球上の火山活動の8割を占める地球最大の火山帯で,プレートの沈み込みを通じて地球表層と内部の間の物質循環を担うとともに,地球内部と表層環境の進化を支配しています。とりわけ東太平洋海膨をはじめとする高速拡大海嶺は,全海洋プレートの50%を生産しています。この高速拡大境界のマグマ供給系を解明することは,地球上の火山活動や物質循環を理解する上でもきわめて重要で,金沢大学をはじめとする日本の研究グループが主導する国際的な超巨大科学プロジェクト「モホール計画」のターゲットとして挙げられています。私は,潜水艇や深海掘削船(国際深海掘削計画IODP)などを用いた現在の海洋底や,海洋地殻〜上部マントルの巨大な岩体が陸上に露出するオフィオライトの調査を通じて,モホール計画を推進しています。


2)沈み込み帯の形成と初期島弧火成活動
 太陽系の中でユニークな地球を特徴づける大陸と海は,40数億年をかけた地球の進化を通じて形成され,現在も発達を続けています。その大陸を作り出しているのは,日本をはじめとする沈み込み帯における島弧火成活動です。そのプレートの沈み込みはどのようにして始まり,発展していくのかを解く鍵が小笠原諸島であり,オマーンオフィオライトにあります。これらの地質体に記録された島弧火山とマグマの進化史を読み解くことによって,マントルウェッジの熱史や沈み込み帯の発達過程を明らかにしたいと考えています。
Incipient Arc Magmatism Project ―伊豆ー小笠原ーマリアナ前弧の古第三紀火成活動およびオマーンオフィオライトに見る島弧形成の初期過程を考える


3)火山噴火とマグマ溜りプロセス
*溶岩流噴火:巨大海底溶岩流とハイアロクラスタイト Giant lava flows and hyaloclastites
 溶岩流噴火は,最も普遍的な噴火様式の一つです。地球上の火山活動の8割を占める中央海嶺における噴火は,〜3000 mの深海底で発生するため,水圧によって爆発的な噴火が抑制され,もっぱら溶岩流噴火を起こします。溶岩流噴火は地球だけでなく,太陽系のその他の惑星(金星,火星,月など)においても火山活動の主体をなしています。従って,溶岩流噴火を理解することは,太陽系の他の惑星の火山活動を解明する重要な手がかりとなります。特に一度に数km3を越える大量のマグマを噴出する巨大溶岩流は,洪水玄武岩や巨大海台の主要な構成物であり,マグニチュード10の地震に相当する膨大な物質・エネルギーが噴火によって放出されます。従って,環境に与える影響も甚大で,大量絶滅の原因ともなります。しかし,海底で起きる巨大溶岩流の産状や定置過程を観察することは困難であり,実態はほとんど知られていません。

マグマ溜りとは何か? What are the magma chambers?
 火山噴火の予測と噴火対策には,火山毎に異なる活動の”くせ”を調べ,噴火に至るプロセスや噴火能力の評価が不可欠です。そのためには噴火によって地表にもたらされた噴出物について野外調査を行い,試料を分析・解析して,地下のマグマ溜りで起きた物理化学的なプロセスを解読し,噴火の特徴や原因を明らかにすることによって,将来起こりうる噴火シナリオを予測する必要があります。


研究プロジェクト:

現在進行中のプロジェクト:

Giant Lava Flow Project ―地球上最大の火山活動である巨大火成岩区LIPsを構成する基本的な要素である巨大溶岩流の成因を探る
Incipient Arc Magmatism Project ―伊豆ー小笠原ーマリアナ前弧の古第三紀火成活動およびオマーンオフィオライトに見る島弧形成の初期過程を考える
Magma Chamber Project− マグマ溜りとは何か? ―マグマ供給系とマグマプロセス
Mantle Quest Project―地球のマントルの探求

その他の研究:

Lava Flow Project ― 溶岩流定置メカニズム
Dike Swarm Project ― シート状岩脈群と重複岩脈の形成過程 ― 海洋地殻の形成とプレート拡大のモデル化

研究業績の一覧
Susumu Umino on ResearchGate

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金沢大学岩石学・火山学グループ

金沢大学地球学科