The Island Arc誌「日本-大陸の古生代地質の連続」論文の新聞記事

 

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2003年06月30日作成 2003年07月21日更新


 

 日本地質学会の英文学術雑誌で,オーストラリアのBlackwell社から出版されている「The Island Arc」誌に,石渡 明・辻森 樹の論文「東アジアの構造的枠組みにおける日本とロシア沿海州の古生代オフィオライト及び青色片岩類:総合的解釈」(12巻2号,190-206ページ,英文)が印刷されました.これについての新聞記事が石川・富山の地方紙「北國新聞」2003年6月19日朝刊に掲載されました.なおこの論文の英文タイトルは次の通りです.Akira Ishiwatari and Tatsuki Tsujimori (2003) Paleozoic ophiolites and blueschists in Japan and Russian Primorye in the tectonic framework of East Asia: A synthesis. The Island Arc, 12 (2), 190-206.

 追記:2003年7月20日(日)の「北陸中日新聞」朝刊にもこの論文に関する記事が掲載されました.

 この論文では,日本と大陸の間における古生代後期(約2億5000万年前)の高圧・超高圧変成帯のつながりについて,「八重山突出部説」という新しい仮説を提案しています.これは,中国北部から朝鮮半島にかけての「中朝地塊」と中国南部の「揚子地塊」の大陸衝突帯(大別−蘇魯超高圧変成帯)の東方延長が朝鮮半島中央部に延びるという従来の考え方と異なり,この衝突帯が朝鮮半島を迂回して琉球八重山諸島の石垣島に現われ,そこから西南日本の三郡蓮華変成帯を通ってロシア沿海州に延びるという仮説です.この考え方の主な根拠は,朝鮮半島の北部と南部で古生代の地層の重なり方に大差はなく,どちらも中朝地塊に共通の性質を示し,揚子地塊の地層の重なり方とは大きく異なること,2億年〜2.4億年の年代を示す高圧変成岩(青色片岩)が実際に石垣島北部に広く露出していることです.この仮説については,石渡・辻森(2001)でも日本語で詳しく論じていますので,興味のある方はご覧下さい.

 なお,この英文誌この号 は,2001年9月に金沢大学で行われた東アジアの地質と環境に関する国際学会の特集号で,編集者は金沢大学の荒井章司氏と韓国自然科学大学のリ・ヨンイル氏です.この号にはリ・ヨンイル氏とリ・ジェイル氏共著の「韓国の古生代堆積作用とテクトニクス:総論」という論文が載っています が,彼らは「中国の大陸衝突帯が朝鮮半島中央部の臨津江(イムジンガン)変成帯に連続するという従来の説は,朝鮮半島の古生代の地層に関する最近の古生物学的,堆積学的,層序学的研究の結果と合わない」と延べ,我々が2001年に「Gondwana Research」誌に発表した,今回の論文とほぼ同内容の要旨を引用して,我々の考え方を支持しています.

 


「北國新聞」2003年6月19日朝刊に掲載された記事

 


2003年7月20日(日)の「北陸中日新聞」朝刊に掲載された記事

 

 

注:この記事の図の中で,石垣島を「超高圧型」の赤色で塗ってありますが,これは記事の本文に書いてあるように「高圧型」が正しく,茶色の誤りです.

 


2003年06月30日作成 2003年07月21日更新

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