泥質片岩

Pelitic schist


四国赤石山系 尻無川(愛媛県)

サンプル写真掲載予定

 泥質片岩は、その名のとおり、堆積岩の泥岩を起源とする岩石です。砂岩起源の砂質片岩を含めて、別子地域で最も多く見 られる岩石です。肉眼では、薄い灰色から黒色をしていて、強い面構造を持っています。表面はきらきらと光を反射し、ぱらぱらと面状にはがれやすい岩石で す。どちらかと言うと、砂質片岩のほうが泥質片岩よりも白っぽい色をしていて、粒が粗い感じに見えます。今回薄片にした試料は、前赤石山の北から関川へと 流れ込む大きな沢の中腹で採取しました。


構成鉱物は、主に、斜長石、黒雲母、ザクロ石、白雲母、石英、ゾイサイトです。緑泥石、角閃石を含むこともあり、微量の石墨(グラファ イト)、ルチル、楔(くさび)石を含みます。基本は石英、白雲母、斜長石といった白色鉱物ですが、炭質物の多少で岩石は黒色から灰色に見えます。石墨は炭 素(C)の単体結晶で、木の葉や生物骸などの有機物が変成作用によって炭化したものと考えられます。原岩が堆積岩であることを示しています。


泥質片岩は、変成温度によって鉱物組み合わせが大きく違います。三波川帯の変成分帯は、その鉱物組み合わせの変化を利用しています。こ の試料の採取地点は灰曹長石‐黒雲母帯にはいります。黒雲母、角閃石といった鉱物は比較的高温の変成条件を示唆しています。



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作成者:水上 知行
金沢大学 地球学コース