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IODP Expedition 346 日本海・東シナ海掘削

 プロジェクト概要

2013年秋,日本海と東シナ海の海底掘削国際プロジェクト(統合国際深海掘削計画 Integrated Ocean Drilling Program: IODP)に参加しました. IODPは,日本,米国,欧州を中心とした世界各国が参加する国際共同プロジェクトです.IODP公式ページ(英語)

Exp.346では,日本海の7サイト,東シナ海の2サイトを掘削し,高時間解像度の古気候・古海洋記録の復元に適した連続堆積物を採取しました.日本海では約1500万年前,東シナ海では約40万年前まで到達することに成功しました. 本研究室では,主に鳥取沖の水深約300mから採取されたサイトU1427の堆積物を使って,過去140万年間の日本海表層〜浅海の環境変動をテーマに研究を進めています.

本プロジェクトで期待される研究成果については,J-DESC NEWSに寄稿した記事をご覧ください.

また,本航海の詳しい情報は公式の航海サイト(英語)をご覧ください.


 本プロジェクトに関連した研究成果 (Publicationのページに論文へのリンクがあります)

  • Irino et al. (2018) Progress in Earth and Planetary Science
    • IODP 346次航海で得られた堆積物コアの堆積相序を見直し,ほぼ完全に連続な完新世・更新世の堆積層序と物性記録の確立を行った.これによって,東アジア地域の気候や北太平洋地域の海洋長期変動を詳細に検討可能となった.
  • Tada et al. (2018) Progress in Earth and Planetary Science
    • IODP 346次航海で得られた日本海の6サイトについて暗色層の対比を行い,U1424について確立された過去300万年間の年代モデルを全サイトに適用することを可能とした.これにより,古気候記録を点の情報から面の情報へと広げ,時空間的な議論を可能とした.
  • Sagawa et al. (2018) Progress in Earth and Planetary Science
    • 日本海南部の2サイト(U1426,U1427)と東シナ海のサイト(U1429)における火山灰層序を構築するとともに,U1427とU1429について底生有孔虫の酸素同位体記録を比較した.その結果,検討した3つのサイトについて詳細な対比が可能となり,日本海と東シナ海における環境変化の対応関係をより詳細に議論可能とした.さらに,日本海は過去110万年間にわたって氷期最盛期に低塩分イベントが繰り返し起こっていたことも明らかになった.
  • Itaki et al. (2018) Proceedings of the Intergrated Ocean Drilling Program
    • 鳥取沖U1427サイトについて放散虫層序を確立した.その結果,過去150万年間において4つの基準面が確認された.さらに,亜熱帯性温暖種の周期的な増減が確認され,氷河性海水準変動に伴う対馬暖流の流入変化を示しているものと考えられる.
  • Gallagher et al. (2018) Paleoceanography and Paleoclimatology
    • 鳥取沖のサイトU1427について底生有孔虫化石の群集解析を行い,過去46万年間の浅海環境の変化を明らかにした.全球的な海水準変動によって,氷期には対馬暖流の流入が制限され,海洋環境が大きく変化したことが明らかになった.
  • Huang et al. (2018) Paleoceanography and Paleoclimatology
    • 鳥取沖のサイトU1427について貝形虫化石の群集解析を行い,生物群集の海洋環境変化に対する応答を調べた.過去70万年間にわたって,少なくとも5回の貝形虫が産出しないイベントが確認され,底生生物とっての生息環境が悪化したことが明らかになった.また,およそ45万年前を境に貝形虫群集に変化が見られ,縁海生態系にとって転換点であったことが示唆された.
  • Hayashi et al. (2021) Quaternary Science Review
    • 鳥取沖のサイトU1427について花粉分析を行い,過去55万年間にわたる山陰〜近畿地方日本海側地域の陸上植生の変遷と日本海の環境変化の関係について議論した.その結果,氷期最盛期から間氷期にかけて,極度に乾燥した気候から温暖気候へと急激に変化し,対馬暖流の流入が陸上植生に強く影響を与えていることが明らかとなった.また,日射量に応答した植生の変化も確認され,全球的な氷床量変動に加えて東アジアモンスーンによる季節変化が重要であることが示された.

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Contact: tsagawa(at)staff.kanazawa-u.ac.jp