船上にてpart3

ここでは水に関する実習について紹介します。


           
  その4)水の採取

水の採取は、乗船1日目、Stop2で行った。今回、表層コアや水の採取には、船のサイドに備えられている比較的小さいウインチを使用した。ベルシャーギには甲板中央にもっと大きなウインチも備えられていたが、それはもっと大きなコアサンプラー(たとえばピストンコアサンプラーなど)に使うようであった。Stop2では、まず表層コアの採取が行われ、その後採水が行われた。小さいウインチは船の両舷についていたが、コアサンプラーと採水器を同時に下ろすことは、ワイヤーが絡まる危険があるのでできない。
と言うようりも、乗船してから今回使用する予定だった採水器(6L採れるだったかな?)が故障していたことが発覚!(そんなこと出発前に確認しとけば防げるやん。という日本人のツッコミはロシア人には通用しない)代わりの採水器(バンドン採水器だった)もゴムが劣化していて使用不可だったので、残念ながら今回の採水は諦めるということになった。
かくして表層コアを採取して今日の日程は終了となり(この時点で真夜中だった)、みんなが「疲れたな〜」とか言いながら寝る準備をしていると、エディックさんがやってきた。どうやらバンドン採水器を直したようである。これはラッキー!と、採水を熱望していた河合先生とその学生の村上君、坂口さん、大田さん達が中心となり採水を開始。しかし、船から身を乗り出して採水器を扱うのは危険な役目なので、すべてエディックさんがやってくれ、私達は横で見ているだけとなった。Step2の水深は1400m以上あり、深度600mと1200mの水を採水したのでとても時間がかかった。その理由は、まず採水器を目的の深度にまで下ろすのに十数分、次に採水器の蓋を閉めるためのメッセンジャーを投下して十数分、採水器を引き上げるのにやはり十数分かかるためで、トータルで1サンプル採取するために40分以上かかった。さらに、採水器の容量が当初予定していたものよりも小さく(3L)、ゴムがゆるいために船上に引き上げる際に、水が漏れてしまうので、同じ深度で何回も採水をしなければならなかったためである。採取した水は、大田さんがすぐに水質測定を行い、村上君と坂口さんは日本での分析のためにボトルに移した。そんなこんなで徹夜の作業を行い、採水は翌朝5時までかかったのであった。その朝に見たバイカルの朝焼けのなんと美しかったことか・・・
結局、徹夜で採水したのだが、私達も当初は「今日は無理せずに、(採水は)あしたやろう。」と話し合っていた。しかし、水深が1400mもあるところでは、錨を下ろせないために停泊できないという実質的な問題に加えて、やると言ったら何がなんでもやり通すロシア人の気質もあって今回の採水となった。もちろんそこには、我々のよいサンプルを採取したいという熱意があったのも言うまでもない。さらに、船上ではたとえ夜だろうが波がなくてコンディションのよい時に作業をするのが良いという事を、この後経験するのである。
そして何よりも、諦めずにトライし、徹夜で採水してくれたエディックさんに感謝!
しかし、こんなに苦労して採取した水なのに、ロシア出国の際にあんな事になろうとは・・・(By 石川)
 
   
採水器の水をボトルに移すエディックさんと河合先生 水質測定
     
   
バイカルの朝焼け
     
           
 

その5)水の処理実習

今回分析をした水はStop1~4まで全ての表層水と、その4)で紹介した水深600mと1200mの水に、Stop3、4で採取したコアとともにカラムの中に閉じ込められてきた水である。分析はガラス電極式水素イオン濃度指示計(通称pHメーター)で行った。調べたのは水のpH、EC、ORP。


佐藤先生による水の分析についての講義の様子。身振り手振りも加わって、かなりの熱弁中。聴いている方も真剣そのもの。

pHメーターを用いて測定中。中央下の右手にある装置がpHメーター、左手にあるのが(画面から切れているが…)電極。これは表層水の調査中。表層水は船の備品の赤色のバケツを豪快に湖に投げ入れ、水を汲んで引き上げて採取した。なかなかコツのいる作業らしく私たちがモゴモゴと失敗し、手間取っていたらロシア人のクルーの人が手ほどきをしてくれた。感謝!!コツを掴むとみんなで争うように挑戦していた。私も一度は挑戦すれば良かった・・・。
   
 
バイカルの表層水のpHはほぼ付近。深層水ではpH7くらいだった。ORPは150mV、ECは12ms/s。これは表層水でも深層水でもほぼ同じ値であった。(By大田)
   
 
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